教員の知的行動学 No.3
                                             
成長アルバムを作ろう

                                          

1、自分の授業に注目


授業がうまくなりたいというのは、教師の誰もが持っている願いだと思う。
授業のやり方が、上達するにはいろいろな方法がある。
授業が上手な先生の授業を見て、良いと思われる点を真似していくのも一つの方法だ。
しかし、それとても、土台になってる学級経営が違うので、真似をする1時間がうまくいったからといって、それが次の時間まで通用するとは限らない。
そのうえ、全部の時間を、参観するわけにもいかない。
1時間だけ真似をするというのは、いかにも心もとない方法である。
授業の方法について、詳しく書いてある本を読むというのも一つの方法だ。
発問や児童の反応まで書いてある本も出版されている昨今だ。
この本を見て、書いてあるとおりにやってみるのもうまくなる方法だ。
それとても、全教科・全領域について、書いてある本を集めて読むのは大変なことである。
そのとおりにやってみても、それは単なる真似に過ぎない。
それで、自分の実力がついたのかといわれても、否、と言わざるを得ないと思う。
真似は、あくまで、真似に過ぎないのだ。
最も時間がかかって、大変なのが、授業のやりかたの根本的な理論を自分が身に付けることだと思う。

小学館の「教育技術」誌からも、授業技術についての知識をたくさん得ることが出来る。
この知識や理論を、自分の授業の仕方に当てはめてみれば、どんな授業に応用することも可能なのだ。
そして、自分が毎日行っている授業に注目することが最も必要だ。
自分が行っている授業を、この集めた理論を元にして、自分の授業の進め方を検討してみることが、必要なのだ。
一時間の授業を終えて、終わりの挨拶をする時、今日の授業がうまくいったのか、いかなかったのか、判断できるのは自分だけだ。
自分が一番良くわかるのだ。
授業の進め方が、どうもうまくいかないと思えたら、授業の進め方の理論を謙虚になって、吸収し、自分の授業のどこが悪いのか検討してみることから始めるしかないと思っている。

2、記録を分析、追及しよう

明日授業する場所の指導案を立ててみる。
指導書を見たり、研究書を参考にしたりして、自分のクラスに合った授業指導案を作り、それで授業を行ってみる。
十分に研究して授業にのぞむのだ。
そして、授業の全てをカセットテープに録音する。
発問や、児童の反応を後で聞くためだ。
もちろん、同じ校内に一緒に研究する同僚がいれば、ビデオテープに記録してもらうのもよい。
また、黒板に書いた板書をデジタルカメラに収めておく。
こうして、指導案、録音のテープ、板書の三つがそろったことになる。
この後、この三つを見ながら、分析、検討をするようにする。
同じ学校に、一緒に研究する同僚がいれば、一緒に検討してもらうように頼む。
こうすると、岡目八目で、自分の気がつかないことを友達が見つけてくれたりするので、効率が上がることにもなる。
一人でやらなければならないときは、大変なのだが、一人でテープを聞きなおして見つけるしかない。
「この発問の言い方は、よかったのかな。」
「ここでの突っ込みはどうだったのだろう。」
「説明がくどすぎるな。」
「これでは、子どもは、何をしていいかわからないな。」
「指示がいいかげんで、何をしていいかわからないな。」
「今日の授業は、とてもうまくいった。」と思うようなことは、めったにないと思う。
そうすると、どんな言い方が適切なのか、いろいろ考えて、謙虚に検討することなのだ。
この自分の授業の記録を分析するという地道な作業を通して、授業のやり方が、少しわかってくるはずだ。
同僚がいれば、同僚に厳しい分析をしてもらうことだ。
ともかく、授業技術が向上するかどうかは、自分の授業の分析をすることが必要なのだ。
その検討から、少しずつ、技術が向上していく。

3、アルバムつくりが成長の歴史になる。

指導案、録音テープ、板書写真の三つと、反省し分析したメモは、一つにまとめて、アルバムにしていくとよい。
一週間に1回ずつの、授業分析を行ったとして、年間35のすばらしい研究授業アルバムが出来上がることになる。
時々、週2回行えば、50ぐらいの授業記録を残すことが出来る。
50もの授業を反省し、分析すれば、自分の授業は長足の進歩を遂げることになるはずだ。
ただし、全ての授業を記録していくのは到底無理。
そこで、一つの教科に的を絞って行っていったらどうだろう。
自分が最も得意だと思っている教科、または最も不得意だと思っている教科を一つ選び、一年間続けてみる。
自分が自分の授業の分析・評価をするのだから、どんなに甘くすることも出来るし、厳しくすることも出来る。
甘い評価をしていれば、このアルバムの内容の上達度は遅くなるし、厳しい評価をしていくと、アルバムの4月と3月は、別人のような内容に変化していくに違いない。
自分の授業の実力を高めていくには、自分に対する厳しさが必要なことはいうまでもない。
この授業の成長アルバムは、必ず、自分の授業を飛躍的に上達させる基となると思う。
ともかく、自分の授業を高め、伸ばしていくためには、自分の授業を見つめる謙虚さ、自分の授業に対する厳しさが必要名のである。
このアルバムつくりをすることによって、
 ・自分に合った授業
 ・自分にしか出来ない授業
 ・他人真似ではない授業
を、自分が創り出して行くことができるようになっていく。


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